Windows XPが起動しなくなったらまず試してみること – CHKDSK

筆者は某所にて数十台のXPを管理しているのだが、年に1、2台ぐらい起動しなくなるものがあらわれる。起動しない原因はさまざまで、電池のヘタったノートPCでシャットダウン中にACアダプタを抜いてしまったというような原因が明らかなものもあれば、前日まで普通に動いていたのに翌朝突如起動しなくなった、というような原因不明のものもある。

「起動しない」にもいろいろな症状があるが、たとえば電源ボタンを押してもPCの電源インジケータが点灯しないようなばあいはおそらくハードウェアの故障だ。しかし、電源は入って、BIOSの画面にはいくけれども、Windowsが起動しないような場合は「CHKDSK」をかけるとなることがおおい。CHKDSKはファイルシステムの不整合を調べて直してくれるWindowsのツールである。CHKDSKをかければ直るような場合でも「重大なハードウェアの障害だ!」と勘違いして、あきらめてPCごと買い替えたり、メーカーに修理に出してハードディスクを交換されて高い修理代を支払ったり、という事例が後をたちません! 起動しなくなったXPのマシンにCHKDSKをかけるのは少しトリッキーなので、ここに手順をまとめておく。

起動しないマシンでCHKDSKをかけるには、まず「回復コンソール」というものを起動しなくてはならない。回復コンソールの起動の方法は2通りある。まず、Windows XPの起動ディスクがある場合。パッケージでXPを購入している場合は、Windows XPの起動ディスク(CD-ROM)をお持ちのはず。この場合は、起動ディスクで起動して、回復コンソールに入ることができる。

問題は、起動ディスクがない場合で、Windows XPがインストールされているPCの多くは、メーカーでプレインストールされたXPを使っている。この場合は、再インストール用の媒体はCDではなく、ハードディスクの中にパーティションを切って入っている。つまり、起動ディスクが付属していない。

こういうケースのために、Microsoftはフロッピーで起動できる起動ディスクを用意しているので、それを利用する。なお、ここでの作業には動いているWindowsマシンが必要となる。

  1. まず、フォーマットされたフロッピーを6枚準備する。
  2. つぎに、故障したマシンとは別のWindowsが動くマシンを使って、マイクロソフトのサポートオンラインの「Windows XP のインストール用起動ディスクを入手する方法」に行き、該当するシステム用の起動ディスクをダウンロードする。
  3. システムは、XP Home edition用と、XP Professional用に大きくわかれ、またそれぞれがサービスパックの有無で4つにわかれている。重要なのは現在どのサービスパックが適用されているか「ではなく」、プレインストール時に適用されていたサービスパックで選ぶこと。わからない場合は順番に試してみるのがよい。間違ったシステム用のものだった場合、フロッピーで起動するときにエラーが出るのでわかる。
  4. ダウンロードしたら、exeファイルを起動する。起動すると使用許諾画面につづいて、フロッピーをいれるよう促されるので、画面にしたがって操作し、6枚の起動ディスク(フロッピー)を作成する。1から順番に番号をつけておくことを忘れないように。
  5. フロッピーができたら、起動しなくなったXPのマシンに1番目のフロッピーを入れて起動する。次のフロッピーをいれるように促されるので、順番に6枚目まで入れる。
  6. 6枚目まで行き、[セットアップの開始] 画面が表示されたら、R キーを押して回復コンソールを起動する。
  7. このとき、キーボードの種類を聞かれるので入力する。
  8. また、インストールされたシステム(現在立ち上がらなくて問題になっているもの)を認識可能な場合には、「どの Windows インストールにログオンしますか?」というメッセージがでるので、「C:Windows」が表示されている番号を入力する。またこの場合はアドミニストレータのパスワードを聞かれるので入力する。システムを認識できないぐらいの不整合の場合はこれはきかれない。

ここまでで、起動ディスク(フロッピー)の準備と、それを使ったマシンの起動、そして回復コンソールの起動ができた。回復コンソールが起動したら、いよいよ次のように入力する。

> chkdsk c: /r

/rは自動で障害を復旧するオプションである。このとき「AUTOCHK.EXEが見つかりませんでした。 AUTOCHK.EXEの場所のドライブ文字を含む完全なパスを入力してください。」と表示される場合がある。AUTOCHK.EXEはCHKDSKの実体のようなものである。C:ドライブが認識可能な状態であれば、C:にあるAUTOCHK.EXEを自動で認識して使用するのだが、C:が読めないような状態だと、
AUTOCHK.EXEがみつからず、CHKDSKを実行することができない。この場合は、適当なWindows用のCD(わたしはWindows Server 2000のCDをつかっている)を入れておくとよい。そのようなものがない場合には、他の動いているWindowsからAUTOCHK.EXEをコピーしてCD-Rに焼いて入れておくと良い。AUTOCHK.EXEはたとえば”C:windowssystem32i386AUTOCHK.EXE”というようなところにあります。

CHKDSKはディスクのサイズにもよるが、数時間かかることも普通なので気長に待つ。終わったら、

> exit

などとして再起動する。入れてあったフロッピーやCDは抜いておくこと。これでWindows XPが起動可能に! なることも多い! おためしあれ ^^;

参考文献

  1. Windows XP のインストール用起動ディスクを入手する方法, マイクロソフトサポートオンライン, 2006
  2. Windows XP 回復コンソールについて, マイクロソフトサポートオンライン, 2004