噂されていた新しい「アルミ筐体のiMac」がアップルから発表になりましたね。ノートは既に白+透明の筐体から、アルミの筐体になっていたので、アップルの製品デザインがそういう方向に向かっているのかな、と思いました。
で、記事を見ていると「さらに薄くなった」というようなものが多い。
- アップルが新しいiMacを発表——アルミの外装でさらに薄く(ITmedia)
- 本体の厚さを従来モデルより40%薄く(DigitalFreak)
- アップル、新型iMac発売–厚さは約2.3センチ。従来機種より40%薄い。(朝日新聞)
- 米Apple、薄型アルミニウム筐体を採用した新型iMacを発表(マイコミジャーナル)
でもなんかそんなに薄くなったように見えないんですけど。横から見た写真がこれ。
図1. 新型アルミ筐体iMac
カタログ値で旧タイプと厚さの比較ができないかと思ったんだけど、カタログにはスタンドも含めた奥行きしかのっていないので比較不可能でした。しょうがないので、上のDigitalFreakの記事にのっていた新旧iMacの横からの比較図で検証してみましょう。これがその図。
これはひどい。なんかインチキダイエットプログラムのbefore-after写真みたいな ^^;; 新型の方は背面が黒だから、側面の銀色の部分だけが強調されて薄く見える。背景も黒いからますます銀色の部分だけが目に入る。右の旧iMacのほうは真っ白にぬられて背面と側面の境目もわからないようになってる。あざとすぎー。まあ筐体の一部の色を変えたり、段をつけたりして「ここはみないでー、なかったことにしてー」っていうのは、コンピューターに限らず、一般によくあるデザイン手法です。でもさー、こんな図で比較になるかっ! というわけで、重ねてみた。縮尺があってるかどうかはわからないからあくまで参考ですが。
40%はうすくないけど、多少は薄いみたいなかんじですね。なるほど。でもさー、まえのiMac持ってるひとならみんな知ってると思うけど、旧iMacを横から見るとこういうかんじ。
見た目をカッコよくするために、白いプラスチックの上に透明な層がかぶさっています。この透明な層がけっこう厚いんです。見た目だけのために厚くなってる! 薄くなったぶんの半分ぐらいはこの透明な層の分でしょう。ようするに「薄くなった」のは、ガワが薄くなったから。まあそれもそのはずで、中の構造をみると、
図5. 旧iMac (intel)
図6. 新iMac (Intel aluminium)
ほとんど変わっていません。じつはこれiSightがついたG5のiMacからほとんど変わっていない。ナカミがかわってないんだから、劇的に薄くなる訳もないと言うわけです。熱処理の問題と、ハードディスクをなんとかすれば、おそらくもっと薄くすることは可能でしょうが、価格に跳ね返ってくると思います。iMacは安いからね。まあ「薄く」なることがイイコトかどうかはよくわからんし ^^;
というわけで、iMacは「薄い」のは事実。でもまえのモデルも薄い。Appleのサイトには「薄い」とあるだけで「より薄くなった」ことはあまり強調していない。英語の記事もざっとみてみたが、「まえのiMacよりうすくなった」というようなものはあまりなかった。単に「Thin」とあるだけ。参考文献に挙げたジョブスのムービーを見てみると、ひとこと「even thinner」みたいなことを言っているだけ。「より薄くなった」と書く人は「まえのモデルから変化することがいいこと」みたいな思い込みがあるんだろうか?
参考文献